派遣労働者の雇止めー和解で解決

2019年9月3日


東京地評<相談の窓(174)>

 

◆外資系の大手コンピュータ会社APで業務用プリンタのトラブル苦情処理を行っていたAさん。
2002年にアルバイトで雇用され働いていましたが04年9月、「今までと同じで変わらないから」とAP社の上司から言われて派遣会社に登録。
通常派遣労働者には交通費が支給されないため、2200円だった時給が、交通費分がプラスされた2360円の時給に。

 

◆さらにAP社は09年から内部にKK社を置き、今度はAさんを業務委託したKK社に派遣する形でこれまで通りの業務に就かせた。AP社にKK社の事業部はなく違法派遣だった。

 

◆このような状態で働いていた13年3月、Aさんは「業務縮小」を理由に雇止め通告を受け、地域労組こうとうに加入。
相談を受けた地域労組こうとうと江東区労連は「KK社は偽装請負」と判断し、東京労働局需給調整事業部に申告するとともに、AP社と派遣会社に団交を申し入れた。
団交に応じた派遣会社は違法性を認め、Aさんは今まで通りAP社で働けることになった。ところが2年後の15年3月、AP社はまたも「業務縮小」を理由に雇止めを行ってきた。

 

◆派遣会社は団交に応じたがAP社は一切団交に応じないため16年3月、「雇止め撤回」を求めて地裁に提訴。
証人調べの後、地裁で和解協議が始まったものの、裁判所は「派遣労働者は企業の都合で雇止めされてもやむを得ない」との態度がありあり。
しかし、11回の争議支援総行動による社前行動でAP社を追い詰めるとともに、法廷の和解協議の場で弁護団が「AP社と派遣会社は職安法違反」と追及。
その結果18年12月、三桁の真ん中に近い解決金で合意、勝利的和解を勝ち取った。

 

川村好正(東京地評労働相談専門員)