パート労働者の平均賃金計算

2019年9月2日


東京地評<相談の窓(173)>

 

◆鶏肉販売会社Sの亀戸店で6時間のパート労働者(時給982円)として働いていたC子さん。

2017年8月の有給休暇は6時間分の賃金が支給されたが、それ以降は6割支給に。

さらに人手不足を理由に亀戸店が11月末に閉店となり、12月からは吉祥寺店へとの配属命令。

しかし細かな労働条件が示されず、思いあまって江東区労連に相談に来た。

 

◆組合は直ちに団交を申し入れ、有休の賃金は労働時間分を払うよう求めたが、会社は「東京労働局の『しっかりマスター労働基準法有給休暇編』に基づいているので問題ない」と回答。

しかも労働条件はそちらから吉祥寺店の店長に連絡するように、と本末転倒の態度であった。

その後組合は、「有給100%支給、労働条件が示されないため吉祥寺店に出勤していない状態を休業として扱い、休業手当を払え。

吉祥寺店の労働条件を示せ」との要求を2回行ったがゼロ回答のため、簡易裁判所に不利益変更の少額訴訟を申し立てた。

 

◆簡裁は労働事件であるとして地裁労働部に移送、最終的に地裁で和解となった。

和解内容は「残有給休暇分の買い取りプラス解決金」で休業手当は認められなかった。

 

◆パート労働者の平均賃金の計算は、

①過去3ヶ月間の賃金の合計÷過去3ヶ月間の暦日数

または

②過去3ヶ月間の賃金の合計÷ 過去3ヶ月間の労働日数×0・6

の高い方。

本件は①の計算方法では6時間分の賃金以下で、②では①を下回る。

労働時間が日によって異なるパート労働者に適用されるものだが、労基法の趣旨は労働者に有利な方法にすることなので、平均しても1日の労働時間が同じであれば実時間分の賃金支払いにすべきと思う。

 

川村好正(東京地評労働相談専門員)