シルバー業務~委任契約を隠れ蓑にしたケース

2019年9月3日


東京地評<相談の窓(176)>

 

◆Aさんは、シルバー人材センター(略「シルバー」)を通じて、B病院で夜間、班長の配分の下で休日等の受付・警備業務に業務委託として従事していた。

2017年10月に「仕事の配分を公平にして欲しい」と組合に相談しに来た。

資料等から実態は違法派遣であることが明白だったが、本人の希望もあり違法状態の解消は指摘するにとどめ、要求実現を最優先にしてシルバーと交渉。

結果、公平な配分が実現した。

 

◆ところが、翌年3月にシルバーからAさんに「病院との契約が終わり、4月から仕事がなくなる」と連絡があった。

調べてみると、4月以降Aさんを除いて同業務に従事していた全員を病院の直接雇用にして受付・警備業務を行う予定だった。

 

◆組合は直ちに交渉を申し入れた。

従来の契約は、

①業務委託の形式だが病院の指示の下で働いていることは明白であり、実態は派遣。

②当該シルバーは派遣業許可を取っていない。

③派遣禁止業務への派遣。

④最低賃金を下回る等の点

を指摘し、違法派遣に対する「労働契約みなし制度」による直接雇用を申し入れた。

 

◆病院側は当初難色を示したが、監督署や弁護士などと相談して、法的に正当な解決をするよう強く迫った。

その結果、病院側はほどなくして非を認め、法に則った対応をとることを約束。

具体的には最低賃金割れの状態を是正する。

仮眠時間をしていた深夜時間帯を労働時間として賃金を支払う。

実態として同一事業所に従事してきたことを考慮し、2日間の有給休暇を付与することなどで合意した。

シルバー業務のなかで最も無権利状態になりがちな委任契約を隠れ蓑にした悪質なケースで、告発したい事案だった。

 

北村博昭(CU三多摩協議会書記次長)