新年度! 制度変更 公契約下限報酬もUP

2025年4月1日 カテゴリー:99-その他 タグ:, , , ,


4月1日、新年度です。労働関係制度変更をまとめました。「なぜ?」をできる限りさぐります。

失業給付 自己都合退職でも1か月で給付に

厚生労働省HPより

雇用保険の被保険者が正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合には、基本手当の受給資格決定日から7日間の待期期間満了後1~3か月間(※)は基本手当を支給されません(「給付制限」といいます)。
※ 退職日が令和7年4月1日以降である場合は原則1か月、同年3月31日以前である場合は原則2か月です。
ただし、退職日から遡って5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合退職し受給資格決定を受けた場合、給付制限は3か月となります。

自己都合*会社都合

まず「会社都合」とは? 雇用保険の基本手当の受給に関していえば、労働相談などに際して、「自己都合」でなく「会社都合」にする=「離職票への表記」のほうが、有利で、「おすすめ」でした。「一身上の都合」で退職届を出すのは「ちょっと待った!」 以下のような理由なら「会社都合」退職になります。

①「特定受給資格者」=倒産や事業の縮小・廃止、解雇などの理由によって離職した者(雇用保険法23条2項、雇用保険法施行規則34条~36条)

・会社が破産手続開始、再生手続開始、手形取引停止など

・大量雇用変動(1カ月に30人以上の離職)の届出、3分の1を超える者の離職

・事業所の廃止、事業所の移転により、通勤することが困難になった

・解雇、労働契約の締結時に明示された労働条件が、事実と著しく相違していた

・賃金未払い(連続2カ月以上又は離職の直前6カ月間において3カ月以上)、賃金が85%未満に低下

・離職の直前6カ月間において、3カ月連続で45時間超、1カ月で100時間超、2~6カ月平均で月80時間超 の時間外労働

・事業主が法令に違反:妊娠中、出産後、子の養育中、介護中の労働者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限した

・3年以上有期労働契約が継続した後、雇い止め

・ハラスメント:事業主が事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかった

・使用者の責めに帰すべき事由による休業が、連続3カ月以上となった

などなど

②「特定理由離職者」とは、有期労働契約の不更新(=雇い止め)、その他のやむを得ない理由によって離職した者をいいます(雇用保険法13条3項、雇用保険法施行規則19条の2)

有期労働契約の期間が満了し、契約の更新がないことにより離職した者(更新を希望したにもかかわらず、事業主との合意が成立しなかった場合)

以下の正当な理由のある自己都合により離職した者:体力の不足、心身の障害、疾病。妊娠、出産、育児等。家庭の事情の急変。通勤が不可能または困難(通勤困難な地への事業所移転、配偶者の事業主の命による転勤もしくは出向なども含む)

・希望退職者の募集に応じた

自己都合退職

逆に言うと会社都合退職以外が自己都合退職となります。無期雇用の正社員は、2週間前に会社に対して解約(退職)を申し入れれば、いつでも雇用契約を終了させて退職することができます(民法627条1項)。
この場合は自己都合退職扱いとなりますが、退職の理由は問われません。どのような理由であっても、2週間前の通知によって退職できます。

退職代行ばやり

会社を辞める=労働契約を終了させることは、民法上の権利です。しかしながら「退職代行業」がはやり、地域ユニオンなどにも「会社を辞めたいのだが」と相談が寄せられます。実際には「離職票の発行」など会社が退職事務に協力しない、「やめさせない」などと言う事例が。

自己都合退職でも1か月で雇用保険給付

ともかく、自己都合退職のデメリットだった失業給付の遅れは緩和されました。実際にはとても多い「自己都合退職」に対応したものと言えます。が?

さらに一定の教育訓練を受講した場合に限り、給付制限なしで受給できる

  • 離職日前1年以内に、対象となる教育訓練を修了していること(途中退校は対象外)
  • 離職日以後に、対象となる教育訓練を受講すること。

    ようするに「リ・スキリング支援」というわけです。

「雇用流動性を高める」=仕事・会社を辞めることの勧め? さらに4月からこんな雇用保険の「改正」も。

・出生後休業支援給付の創設(2025年4月1日)
・育児時短就業給付の創設(2025年4月1日)

いつ決まった? 自公が少数与党になる前に決まっていたものが4月から実施されるのです。

2024年5月10日に「雇用保険法等の一部を改正する法律」が、同年6月5日には「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」が、それぞれ国会で可決されました。

それにしても全国平均最賃に連動する給付水準が低い

厚労省HPより(2025年4月1日引上げ」)

  1. 基本手当日額の最高額の引上げ
    基本手当日額の最高額は、年齢ごとに以下のようになります。

    1. (1)60 歳以上65 歳未満 7,294円 → 7,420 円 (+126円)
    2. (2)45 歳以上60 歳未満 8,490円 → 8,635 円 (+145円)
    3. (3)30 歳以上45 歳未満 7,715円 → 7,845 円 (+130円)
    4. (4)30 歳未満         6,945円 → 7,065 円 (+120円)
  2. 基本手当日額の最低額の引上げ
    2,196 円 → 2,295円(+99円)
☆最高でも月17万円強。大災害時の雇用調整助成金限度額でも問題になりましたが、雇用保険では暮らせません。
 この額の根拠が、最低賃金。ただし地域別最賃でなくなぜか全国加重平均額(1004円)。
厚労省HPより
基本手当日額の最低額については、最低賃金日額に、基本手当の給付率80%を乗じて計算しています。
(計算式)
1,004円(令和6年4月1日時点での地域別最低賃金の全国加重平均額)×20÷7×0.8=2,295円


高年齢雇用継続給付の支給率を変更

厚生労働省HPより

高年齢雇用継続給付の支給率を変更001328827

公契約条例下限労働報酬額も各区で引上げ

2025年4月からの23区公契約下限報酬額(時給/円)

世田谷 新宿 杉並 中野 足立 江戸川 墨田 千代田 台東 目黒 文京
1460 1438 1400 1380 1368 1350 1350 1349 1335 1323 1298 1295